MELTON COLOR STITCHING JACKET

MELTON COLOR STITCHING JACKET

By KURO OFFICIAL

人生において、自分の価値観を形成するアイデアに出会うきっかけは、ふとした瞬間に訪れます。僕の場合、海外で出会った台湾人の「兄貴」的存在な友人に投げかけられた一言が、それに当たるかなと思っています。

彼が言うには、人が住んでいる場所を離れ旅行する際、その旅行先で目にするものはあくまで「上澄み」の姿であり、その土地の文化や現地の真の姿を理解する為にはもっと長期滞在する必要がある、ということ。いまの時代(と言ってもこのエピソードは10年以上の前の話ですが)、皆SNSで「ここに行った!」とか「ここがオススメ!」とか盛んに言うけれど、それは観光というプロセスの第一段階であり、長期滞在することでその土地の輝かしい面も負の面も見えてきて第二段階、年をまたいで居住して初めて、第三段階の真の姿が見えるんだ、と熱く語っていました。

当時20歳だった僕が答えたのは、音楽がまさにその理論に当てはまるねーということ。どこに出かけるにもヘッドホンを携えていたくらい音楽好きだったのですが、CDを買って音楽プレーヤーで聞いて第一段階。そのアーティストのLIVEに行って、汗にまみれて大きな生の音を体感して第二段階。そしてその曲やライブの経験を携えて、日々の生活を過ごして人生の特別な一曲に成長していく気がするよ、と答えたら、「わかってるじゃん!」と言われた記憶があります。

この、「月日を重ね景色が変わって見える」ということが、洋服にも言えると最近強く思いました。

欲しいと思う洋服に出会うきっかけは、便利なSNSのおかげで本当にハードルが下がったと思います。でも、そこで出会った洋服を買って入り口の第一段階。その洋服にまつわる生産背景やデザインの理由など知識を深めることでより愛着が増すことが第二段階、そのお気に入りの洋服で過ごして思い出を重ねていくことで第三段階。この一連のプロセスが、10年前に教わったあの話とリンクしている気がしたのです。

いまの時代、ファッションに労力もお金もかける必要が無くなりました。ほとんどが買って、消費して終わりでまた買って、の、短いサイクルで事が足りてしまうし、その方が圧倒的に便利です。

でも、この「三段階プロセス」を踏んだ一着がある人生は、きっと豊かなものに違いない、とも思うのです。その意味で、KUROはストーリーのある一着に溢れています。そして、特にそのアイテム群の中でも、アウターは年をまたいでも着るもので、より愛着の湧きやすいアイテムだと思います。今日ご紹介するのは、そんな「人生の一着」になり得るアウターです。

MELTON COLOR STITCHING JACKET

KUROではお馴染みのSuper 100’Sのウールを使用したショート丈アウターが、今年も登場です。商品名を一つずつ紐解くと、このアウターの特徴が見えてきます。

まず頭の「MELTON(メルトン)」ですが、ウール素材の糸で生地を作り、ギュッと生地の目を詰める「縮絨加工」を施し、その表面の毛羽を綺麗に刈り取る加工のことを意味します。通常ウールと聞くとセーターなどのフワフワした生地をイメージする方が多いと思いますが、丁寧なメルトン加工を施した生地表面は、光沢が出るほど綺麗に整っています。

そして真ん中の「COLOR STITCHING」ですが、これは日本語訳すると「配色スティッチ」と呼ばれる手法です。どのような製法かと言いますと、お洋服の生地の色と、それを縫い合わせる縫製の糸をあえて違う色で作ることで、コントラストを生み出し、カジュアル感を演出するという縫い方。縫製糸をデザインとしてアピールすることができ、インディゴの生地に黄色系の縫製糸を使う「デニム」のアイテムが代表例です。反対に生地の色と縫製糸を統一することを「TONAL STITCHING」と呼ぶのですが、全体に統一感が出てスッキリした印象のアイテムになります。

感の良い方はもうお気づきかもしれませんが、「生地は綺麗め」でも「縫製はカジュアル」という、生産過程で異なるテイストをミックスさせているのが、このアウターのギミックです。
この「対比」という点ではもう一つ、デザインにも特徴があります。それは「Pコート」と「デニムジャケット」のデザインを融合させたというところ。
襟の部分から前立てに降りてきた中心部分は、メルトンウールで良く見るPコートの作りですが、胸ポケットから下に降りるV字のスティッチは、3rd Gジャンで見る作りです。

またそのGジャン部分にフォーカスすると、前から見るとV字スティッチが特徴の「3rd Gジャン」なのですが、後ろは「1st BIG Gジャン」に端を発したT字バックになっています。

本当はまだまだたくさんあるのですが、今挙げただけでも

「生地」と「縫製」

「Pコート」と「デニムジャケット」

「3rd Gジャン」と「1st BIG Gジャン」

と、いくつもの対比が散りばめられた、背景にストーリーがあるアウターと言えると思います。SSENSEというカナダの大手ハイエンドファッション通販サイトのバイヤーも、このアウターの背景を非常に気に入って、個人的に注文をしてくれました。数多のブランドで洋服を見てきた百戦錬磨のプロに対して「伝わった!」という感覚は、とても嬉しかったのを覚えています。

たくさんの方がされた様に、僕もコロナ禍で断捨離をしたのですが、思入れがある洋服とそうでない洋服がはっきり分かれました。「この洋服を着てあそこに行ったな」とか、「誰々と撮った懐かしい写真ではこの服を着てたな」とか。

きっとこのアウターは、袖を通して、その背景を理解して、そして何より何年も着倒していくことで、愛着が増していくアウターになると思います。

アウターこそ、特別なものを。

ぜひ店頭で試して、お洋服が好きになる旅路の、入口に立ってみてください。

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