2026.10.20

デニムの加工(Finish)とは?時間を重ねたような表情のつくり方を解説

WASH 001加工のデニムパンツの正面。腿のヒゲと膝の当たり、黄みを帯びたくすんだインディゴの色味
STANDARD DENIM PANTS - FORM / WASH 001

KUROの特徴のひとつが、着込んだ後のような風合いを最初から表現する加工です。ノリ残しを思わせる洗い加工、熟練した工場によるシェービング、ダメージ・リペア加工など、モデルに応じて異なる仕上げを採用しています。深いインディゴの色味や生地の質感を生かしながら、落ち着いたヴィンテージの風合いをつくります。

KUROの加工は、どの段階で行うのですか?

縫い上がったあとの製品に施します。この工程を「二次加工」と呼びます。

多くのデニムは縫製の段階で完成とされます。KUROはそこからさらに手をかけ、洗い、削り、色を抜く工程を重ねます。生地の段階ではなく製品の段階で加工するため、ポケットの縁や縫い目の重なりなど、立体になったからこそ生まれる凹凸に沿って色が落ちます。工程は増え効率も下がりますが、KUROは完成度を優先しています。

「ノリ残し」のような洗い加工とは何ですか?

洗いを抑え、生地にまだ張りが残っていた頃のような、くすみと深さのある色味をつくる加工です。

洗い加工には、石と一緒に洗うストーンウォッシュや、酵素の働きで繊維の表面をほぐすバイオウォッシュがあります。バイオウォッシュは条件によって性格が変わり、酸性では当たりが出やすい一方で生地への負担が大きく、中性では生地を傷めにくくなります。KUROはこうした洗いの種類と強さを、モデルごとに組み合わせて決めています。

WASH 001のデニムパンツのバック。くすんだインディゴと、腰から膝裏にかけての色落ち
STANDARD DENIM PANTS - FORM / WASH 001。ワンウォッシュより濃淡が出つつ、インディゴの深さを残した仕上げ。

シェービングやヒゲはどうやってつくっているのですか?

膝や腿など、着用で擦れる位置に強く当たりを入れ、そこから外側へ自然なグラデーションでつなげます。

シェービングは、生地の表面を削ってインディゴを落とす工程です。一般的な工場では大きなブラシで削るため、生地の凹凸によって当たりが均一に出にくいことがあります。KUROの加工では「ミニコ」と呼ばれる小型の金属ブラシを使い、細かな箇所まで削り分けています。

ヒゲにはレーザーも用います。古着や写真のデータからヒゲの濃い部分と白い部分のグラデーションを読み取り、それに沿って生地を焼き付けることで、手作業だけでは出しにくい陰影を再現します。機械と手作業を組み合わせて、一本の表情をつくっています。

WASH 001のデニムパンツのフロント、ヒゲのクローズアップ。ボタンフライの両脇から腿へ放射状に伸びる色落ち
STANDARD DENIM PANTS - FORM / WASH 001。股から腿へ伸びるヒゲ。一本ずつ太さと濃淡が異なる。

ダメージ・リペア加工では何をしているのですか?

擦り切れ、ほつれ、補修の跡など、長く穿き込んだデニムに現れる痕跡を一つずつ再現しています。

色を抜く工程にも種類があります。還元による脱色は、塩素などで脱色する方法とは仕組みが異なり、自然な色落ちとは違う、くっきりとした白さとコントラストを出せます。塩素を吹き付ける「塩素吹き」、布に含ませて拭く「塩素拭き」も、部位と目的に応じて使い分けます。シェービング、レーザー、ダメージ、脱色。これらをレシピのように組み合わせ、モデルごとに目指す表情をつくり分けています。

淡く色落ちしたデニムパンツの前面。腿と膝に擦れによる白いダメージが入っている
WASH 002のデニムパンツの前面。裾が擦り切れてほつれている
STANDARD DENIM PANTS - FORM。左:WASH 003、腿と膝に擦れのダメージ。右:WASH 002、擦り切れた裾。

なぜ前だけでなく、背面まで加工するのですか?

着たときに、前と後ろが一枚の服としてつながって見えるようにするためです。

コストを抑えるために前面だけを加工し、横や背面は簡素に済ませる例もあります。しかし服は全方向から見られます。KUROでは前後と脇の色落ちが同じ時間を経てきたように見えることを重視し、背面まで同じ考え方で加工しています。

WASH 002のデニムジャケットの前面
WASH 002のデニムジャケットの背面
STANDARD DENIM JACKET - RATIO / WASH 002。前面と背面で色落ちの濃淡がそろっている。

同じモデルでも、仕上げが何種類もあるのはなぜですか?

同じ型でも、加工が違えば別の時間を経てきた一着になるからです。

New Heritageのデニムでは、ひとつの型に対してワンウォッシュから、色落ちの段階が異なるWASH 001・002・003までを用意しています。ワンウォッシュは糊を落として縮みを落ち着かせた状態で、ここから自分で穿き込んで育てることができます。WASH 001〜003は、その育った先の姿をそれぞれ異なる段階で表現したものです。

ワンウォッシュのデニムパンツ。濃いインディゴ
ONE WASH
WASH 001のデニムパンツ
WASH 001
WASH 002のデニムパンツ
WASH 002
WASH 003のデニムパンツ。淡いブルー
WASH 003

STANDARD DENIM PANTS - FORM(バック)

よくある質問

加工されたデニムも、穿いているうちに色落ちしますか?

します。加工はあくまで出発点で、着用と洗濯を重ねるとそこから変化は続きます。色落ちの進み方は着る人の動き方、日焼け、皮脂などで変わるため、同じ加工から始まっても、一本ずつ違う表情に育ちます。

加工ものの洗濯で気をつけることはありますか?

ドラム式洗濯機は、生地が叩きつけられて予期しない折り目や筋が入ることがあるため避けてください。水量の多い縦型洗濯機か、色落ちを抑えたい場合は水での手洗いがおすすめです。

どこの工場で加工しているのですか?

製品の内側のタグに、生地・縫製・加工を担当した工場名を記載しています。工場の仕事を正当に伝えるため、ブランド立ち上げ当初から続けていることです。

ワンウォッシュと加工モデル、どちらを選べばいいですか?

自分の着方で色落ちを一から育てたいならワンウォッシュ、最初から完成した風合いで着たいなら加工モデルが向いています。加工モデルでも変化は続くので、加工の表情を土台にして、そこから自分の跡を重ねていくこともできます。